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物忘れと認知症(2019年9月)

認知症は、老化による物忘れとは異なり、何らかの病気によって脳の神経細胞が壊れるためにおこる症状や状態のことで、およそ半数がアルツハイマー型の認知症です。65歳以上の方の約11%が罹っている身近な病気で、異常なたんぱく質が脳にたまり細胞を破壊し脳全体が萎縮する病気です。記憶を担っている海馬という部分から萎縮が始まり、脳全体に広がっていきます。初期症状に物忘れがあらわれることが多いのですが、加齢による物忘れとの違いは、例えば、昨日食べたものが思い出せないという記憶の一部が欠落してしまうのは加齢によるもので、食べたこと自体を思い出せない記憶に出てこないという全体の欠落が認知症の症状です。年単位でゆるやかに進行し、個人差はありますが、無関心・妄想・徘徊・抑うつ・興奮や暴力などの行動や心理の症状があらわれ、日常生活に支障をきたしてきます。

糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、動脈硬化を促進させ脳の血管も傷め栄養の供給や老廃物の回収が滞ることにより認知症につながりやすくなるため、バランスの良い食事と適度な運動が予防の基本となります。人とのコミュニケーションが脳の良い刺激になるため、若い頃からの役割や生きがいを持ち続けることも大切です。

現在の医療では完全に治す方法はありませんが、内服やリハビリ等により、進行を遅らせたり症状を軽くできます。物忘れがひどくなったように感じたり、周囲の方が気になる症状がでてきた時は、早めにかかりつけ医または専門医(物忘れ外来・老年科・脳神経科・精神科等)を受診してください。進行すると、日常に変化があると対応が難しくなったり混乱をきたしやすくなるため、パターン化した生活を送ることをお勧めいたします。

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