加齢と嚥下障害(2025年6月)

40~50歳代頃より、加齢により筋力低下や嚥下反射の鈍化などで、嚥下機能が低下しやすくなります。器官に食べ物が入る誤嚥のリスクや、食べ物を飲み込むのが難しくなったりします。60歳をすぎると、舌の運動機能や咀嚼力なども低下しやすくなります。歳を重ねると何らかの疾患の薬物治療をおこなっている方も多く、内服薬による口腔乾燥等により咀嚼や嚥下機能が低下することもあります。柔らかい食べ物ばかりを選びがちになることで、さらに機能が低下するだけでなく、栄養不足による身体全体の筋力低下につながることもあります。
歯や歯ぐきの健康を維持するケアや筋力トレーニングが、嚥下機能の維持や向上に役立ちます。唇をしっかり閉じて頬を膨らませたりすぼめたりする頬の体操、唇を閉じて舌で唇の裏側をなぞったり、口を開けて舌を出したりひっこめたりする舌の体操で筋力低下を予防し、耳の付け根や下あごなどを両手の親指で押す耳下腺や顎下腺などの唾液腺マッサージをおこない唾液の分泌を良くして口腔内の乾燥を防ぎましょう。定期的な歯科健診で口の中を清潔に保つことも大切です。悪くなる前にいつでも相談できるかかりつけ歯科医をもつと安心です。嚥下機能を保つことで、健康長寿につながります。