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保健師コラム

過敏性腸症候群(IBS:irritable bowel syndrome)(2024年11月)

  IBSは、特に消化器疾患がないにも関わらず、腹痛と便秘または下痢を慢性的に繰り返す病気です。日本における有病率は10~20%で、7人に1人が罹る、特に思春期の女性や40歳代の男性に多いといわれています。大腸がんや炎症性腸疾患などの他の病気でも同じような症状がおこりますが、IBSでは体重減少・血便・発熱などは起こりません。

 主な原因は、ストレス・不安・抑うつ・恐怖などの心理的要因や自律神経失調とされています。脳腸相関と言い、脳と腸は常に情報交換をしあい互いに影響を及ぼしあう関係にあります。ストレスがかかると脳からの遠心性神経により消化管運動異常などがおこり、また、内臓知覚過敏などによる痛みは求心性神経により脳に伝わり、不安・うつなど心理状態に陥りやすくなります。

予防や治療には、規則正しい生活・睡眠時間の確保・ストレスをためない、そしてリセットできる環境が大切です。刺激物の食事は出来るだけ避け、寝る直前に食べなければいけない場合は、雑炊やうどん・豆腐や鶏肉・りんごなどの消化の良い食べ物がおすすめです。お腹の調子が悪くなる食べ物が特定されている場合はそれを避けるだけで症状が良くなることもあります。趣味や楽しみなど、ストレス解消法はいくつかもっておくとより効果的です。

症状を繰り返す場合は、消化器科を受診し確定診断をうけることが大切です。整腸作用のある薬や痛み止めの他、抗うつ剤・抗不安薬、漢方薬などや、必要な方には心理療法(カウンセリング)の処方もされるため、早めにご相談してください。

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