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 RSウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症は、2歳までにほぼすべての子どもに感染するとされています。その後も生涯にわたって何度も感染と発症を繰り返したり、何度も感染を繰り返して症状が軽くなることで罹っていることも知らずにいる場合もあります。潜伏期間は4~5日で、鼻水や咳などの風邪症状で発症し、多くの方は数日で回復します。発熱には個人差があり、38度以上の高熱が出たり、熱が上がったり下がったりする場合もあります。喘息や糖尿病、心臓病などの基礎疾患のある方や高齢者では、気管支炎や肺炎を引き起こすことがあり、60歳以上で毎年4500人程の方が亡くなっていて、注意が必要な感染症です。

 感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染と、感染者との握手やドアノブや手すりなどを触ったりすることによる接触感染とがありますが、はしかや水ぼうそうのように空気感染はしません。感染者数は、近年では、春から初夏にかけて増加し夏にピークとなっています。特効薬はなく、症状にあわせた対症療法が基本となり、市販の解熱鎮痛剤や水分補給などで治ることが多いです。予防と対策には、鼻水や咳などの症状がある時にはマスクを着用し、日頃からのこまめな手洗いが重要です。石鹸と水で手指から手首にかけて20秒以上しっかり洗いましょう。睡眠や栄養などをしっかりとり、免疫力をつけておくことも大切です。家族に罹患者がいる場合は、洗面器やタオルなどの共有は避け、室内の定期的な換気を心がけてください。

 任意接種となりますが、今年から60歳以上を対象とした感染予防のためのワクチン接種ができるようになりました。対象となる方は、かかりつけ医にご相談してください。

 

 気管支喘息は、空気の通り道である気道(気管支)に炎症がおきている状態です。ちょっとした刺激でも、気管支周辺の筋肉が縮んだり、気道の粘膜がむくんだりすることで気道が狭くなり、ゼーゼーやヒューヒューといった喘鳴が起きたり、呼吸困難などの発作が生じる病気です。日本では患者数が増えており、約400万人以上が気管支喘息と診断されています。このうち、小児喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなっていきますが、約30%は成人喘息に移行するといわれています。大人になってから初めて症状が現れる成人喘息は40~60歳代に多く、成人喘息の半数以上を占めています。

 アトピー性素因などの遺伝的要素の他、ハウスダストやダニなどのアレルギー、ほこりやたばこなどによる気道の刺激、ストレスなどが原因となり発症するため、誰にでも起こりうる病気です。

 治療は、発作が起きた時の薬や日頃から長期に使う薬など、症状や体調によって異なるため、かかりつけ医や呼吸器専門医にご相談してください。予防及び治療に際して重要なのは、発作を誘発する物質や状況を少なくすること、薬を医師の指示通り適切に使うこと、重い発作が起きた時は速やかに受診することの3点です。

 疲労がたまると風邪をひきやすくなったり、アレルゲンに対してより敏感になるため、質のよい睡眠をとることは大切です。ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動は、心肺機能が高まり基礎体力の向上につながります。天気や気圧などの影響も受けやすいため、気温の変化に合わせて服装を調節したり、室内の保温に注意しましょう。たばこの煙は気道の刺激になるだけでなく、喘息のもとである炎症を悪化させます。また、喘息の治療薬である吸入ステロイド薬の効きも悪くなりますので、禁煙は基本です。

室内外の温度差や、カビやほこりなどのハウスダストによるアレルギー、夏風邪による気道の炎症などが原因となり、咳がでるようになって治らない、という方が増えています。咳喘息は、咳だけが唯一の症状で、出ない時は全く出ないのに出始めると止まらない渇いた咳が出るだけでなく、放置すると3人に1人が喘息に移行するため、注意が必要です。

最低でも週1回は、エアコンのフィルター掃除が必要です。冷房をつけておくと内部に結露が発生し、切った後に大量の水分が残ってカビが発生するため、30分程送風運転をしておくと良いでしょう。血流が悪くなったり気道を刺激し咳を誘発したりするため、エアコンの風は直接身体に当たらないようにしましょう。

咳の原因となる喫煙や飲酒は控え、ストレスや過労は再発や悪化につながるため、睡眠や休養を十分とることは基本です。日頃からバランスの良い食事を摂り、塩分や炭酸飲料は過敏性を亢進させるため摂りすぎには注意しましょう。うなぎやレバー・ニンジンやかぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれるビタミンA、きゃべつやほうれん草・果物に多く含まれるビタミンC、豆類などに多く含まれるビタミンEや、イワシ・マグロ・ブリ・鮭などに含まれる必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸、免疫系の働きを高める食物繊維は症状を抑える効果があるため、意識して摂るよう心がけて下さい。

市販の咳止め等では治らず悪化させることもあります。2週間以上過ぎても咳が治まらない場合や、眠れないほどの咳が数日続く場合は、かかりつけ医または呼吸器専門医を受診しましょう。